Column Detail
コラム詳細

Top > コラム > ナフサ・ショックから見える本質
ナフサ・ショックから見える本質

ナフサ・ショックから見える本質

最近、「ナフサ不足」「樹脂原料高騰」「電線値上げ」「設備機器の納期遅延」――そんな言葉を聞く機会がまた増えてきました。

電気工事や空調工事を行う私たち建設業にとって、これは決して他人事ではありません。

電線の被覆、配管、樹脂製部材、断熱材、設備機器の部品…。塗装業に関連するシンナー以外にも、実は建設現場にはナフサ由来の製品が想像以上に使われています。

しかし今回、少し違う視点で考えてみたいと思います。

問題は「ナフサ不足」そのものではないのではないか、と。

ナフサが足りないのではなく、精製できる石油が限られている

ナフサは原油を精製して作られます。

ただ、意外と知られていませんが、どの国の原油でも同じようにナフサが取れるわけではありません。

産油国によって原油の性質は異なります。

軽質原油が多い地域もあれば、重質原油が多い地域もあります。

簡単に言えば、同じ「石油」でも中身が違うということです。

そのため、「石油はあるから大丈夫」という話ではなく、ナフサを効率よく取り出せる原油が不足したり、供給バランスが崩れたりすると、一気に価格へ跳ね返ってきます。

電線不足が起きた時もそうでした。

現場では「急に物が来ない」と見えますが、原因はもっと上流で起きています。

そして今、世界中でその「上流側が地政学的に揺れている」のが根本的な問題です。


「アメリカから買えば良い」は、もう通用しない時代

「国内が不足し、中東から入らないからアメリカから輸入すればいい」

一見、正しいように見えます。しかし実際はそんなに単純ではないと思います。

それは、アメリカも世界のインフレの中心にいるからです。

数年前からアメリカでは歴史的な物価上昇が続き、人件費、物流費、燃料費が大きく上昇しました。

その結果、アメリカから輸入する製品自体の価格も高くなっています。

そこへ円安が重なる。

輸送費も加わる。

結局、日本へ来た頃にはさらに価格が上がる。

「海外(アメリカ)から調達するから安い」という時代ではなくなりました。

むしろ、世界全体が同時に値上がりしている。

今起きているのはそういう現象です。


インフレはアメリカだけの話ではない

以前は、日本は物価が上がらない国と言われていました。

けれども、最近、建設業の方なら肌感覚で分かると思います。

電線。

空調機。

鋼材。

副資材。

人件費。

気付けば、何もかも上がっています。電線を最近、ストックしたのですが、2024年と同じ量を見積りしたら、150%の値上がりでした!!

アメリカで起きた金融緩和や資金流入の影響は、結局時間差で日本にもやって来ています。

そして建設業は、その影響をかなり受けやすい業界です。

なぜなら、私たちは原材料が海外の「物」を仕入れて工事をする仕事だからです。

先述した上流層ではドルでの取引であることも忘れてはいけません。

その材料価格の変動が、そのまま利益率へ直結します。そして、原理原則で、インフレを抑制するには、金利を上げるしか手段はありません。日銀がどこでそれを判断するのか?

個人的な予想では、2026年は日本の建設業の倒産数は爆発的に増加するのではないかと懸念しています。


建設業が本当に持つべきものは何か

もちろん対策として、

「先に材料を押さえる」

「在庫を確保する」

これは非常に大切です。

しかし、もっと本質があります。

それは何か。

キャッシュです、そう現金です。

資材不足の時代は、結局キャッシュを持っている会社が強い。

値上がり前に仕入れるにも現金がいる。大量購入するにも現金がいる。それと相関して売上が伸びない状況でも人件費は掛り、前年度の売上高に対する税金も支払うことになる。

この状況下で動ける会社かどうか。そこを決めるのは、最後は手元資金です。


生業を忘れないこと

最近は投資の情報も本当に増えました。

株式。

為替。

NISA。

仮想通貨。

もちろん否定する立場ではありません。経済のスペシャリストでもありません。

ただ、テレビニュースや他のメディアで煽る上記の将来予測で利益を得るモノに、100%を求め過ぎない方が良いとは思います。上記のモノは、全て将来を予測する、というよりも、「将来への期待値でしかない」からです。そう、現金とは異なり、現在では通用しないモノでしかないと言えますね!

さらに突き詰めるなら、

私たち建設業の生業は何か?

現場で価値を作ることです。快適な空間を作り上げること。

技術を磨き、人を育て、お客様から信頼を積み上げること。

世の中が不安定になればなるほど、生業の軸を忘れない会社が最後に残る。

AI時代はさらに急速に変化します。でも、本質は意外と変わらないのかもしれません。

関連コラム
Column

VIEW MORE

お問い合わせ
Contact

お気軽にお問い合わせください。

VIEW MORE